第4回_株式会社ディライトジャパン ―起業家インタビュー― 起業の原点から読み解く、挑戦し続ける起業家たち

インプレス福岡が今年からスタートした「起業家インタビュー」企画。

創業時に印鑑をつくっていただいた経営者のみなさんのその後をお聞きしながら、起業とは何か、経営とは何かを読者の皆さんと一緒に考えていくシリーズです。

第4回にご登場いただくのは、株式会社ディライトジャパン代表・川上健一郎様。
フランチャイズコンサルタントとして独立し、そこから障がい者就労支援や介護事業まで手がけるグループを築き上げた方です。

Facebookで家族との時間を大切にされている様子がいつも目に入っていた川上様。
しかし、実はその笑顔の裏に、骨折による2ヶ月の入院、年商6,000万円規模のコンサル事業からあえて実業へ踏み出す決断、そして85人を抱える経営者としての苦闘がありました。

目次

印鑑という「ご縁」——15年前の出会いが今につながる

川上様とインプレス福岡の出会いは、今から15年ほど前にさかのぼります。
私がFVM(福岡ベンチャーマーケット)でプレゼンをした際、ちょうどコンサルとして独立されて間もない川上様が来場されていました。

川上様がコンサル業を本格始動したのが2009年6月1日。
その後2011〜12年頃に事務所を大名に構えられた時期に、最初の印鑑をご注文いただいたと記憶しています。

その後は川上様が数社の法人設立時に会社印鑑をご注文いただくなどのお付き合いがあり、今回のインタビューの申し入れに対して、川上様はご多忙にも拘らず時間を割いてくださり、率直かつ温かみのある言葉でご自身の歩みを語ってくださいました。

起業の「原点」——光通信のアルバイトから、父の背中を経て

川上様は福岡市育ち。
お父様が造船業を営まれており、志賀島で中学・高校時代を過ごした後、大学へ進学。
大学3年頃から光通信のアルバイトを始め、そのままグループ会社に就職されます。

「元々、起業するつもりなんてなかったんですよ」と川上様は笑います。
転機となったのは、「お掃除本舗」のフランチャイズ本部への転職でした。

20代後半から30代前半にかけて、全国の開発部門の統括責任者として、フランチャイズに加盟するオーナーたちの開業と成長を間近で見続けた7年間。
成功する人、失敗する人など、本部の責任者として多くの独立オーナーを見てきました。

その経験が、後の起業の原点になります。
川上氏は当時をこう振り返ります。

「40代で独立する人が多いんですが、家族の反対などで先延ばしにする人も多いんです。
そして50代になってから『もっと早くやればよかった』と後悔される方も少なくありませんでした。」

その姿を間近で見続けた川上氏は、「起業するなら早い方がいい」という考えを持つようになります。
30歳前後の頃、サラリーマンとしての人生を続けるのか、独立するのか。
人生の分岐点で、川上氏は独立を選択しました。

そして2009年、フランチャイズ本部構築コンサルティング会社「ディライトジャパン」を創業されます。

入院が変えた視点——「実業」への踏み出し

コンサル事業は順調でした。
年商6,000万円規模にまで育ち、食うに困ることはなかった。
それでも川上様は、「何かが足りない」と感じていたと言います。

2012年、雨の日に転倒し、足首を脱臼・骨折。
2ヶ月の入院を余儀なくされます。動けなくなって初めて気づいた。

「お客様のところへ行けない。コンサルティングという仕事は、自分が動けなくなれば止まるビジネス」であることを痛感。

奥様への申し訳なさと、自分自身への危機感が重なり、「実業をやらなければ」という確信に変わっていきました。

そして2015年9月、顧問先でもあった「金沢屋」(障子・襖の張り替え専門店)に加盟
同年11月には、障がい者就労支援事業所「福笑い」を立ち上げます。

「近江商人」の発想——障がい者×襖屋のウィンウィン設計

コンサルタントとして、「金沢屋」と「就労支援事業所」という、まったく異なる業種の両方を顧問先として持っていた川上様。
それぞれの困りごとが見えていたからこそ、2つをつなぐ発想が生まれました。

襖や障子の張り替えは、和室の減少とともにマイナストレンドの業界。
後継者不足で廃業する職人も多い。

一方、仕事があっても収入につながる作業が少なかった就労支援事業所。
「お客様の家から障子を預かって事業所に持ち帰り、昼間に利用者さんがゆっくり作業できれば、双方にとっていい話じゃないか」
——そのシンプルな発想が、事業の核心でした。

「失敗しても貼り直しができる。利用者さんのペースに合わせた仕事ができる。相性がいいんですよ」と川上様は言います。

私がインタビューしながら「近江商人みたいな発想ですね」と思わず口にしたほど、三方良しの組み合わせが見事でした。

3社・85名——グループとしての今

現在、川上様が手がける「ディライトジャパングループ」は3社体制。
フランチャイズコンサルを行う株式会社ディライトジャパン、FC加盟事業(金沢屋・家工房など)を展開する株式会社A-Style、そして就労支援A型事業所・グループホーム・訪問介護など7事業所を運営する株式会社福笑い
社員15名を含む、総勢85名の組織に成長しています。

グループ全体に通じる経営理念は
「日本で一番、ありがとうが集まる会社」。

この言葉は、福祉・コンサル・住まいという一見バラバラな事業を一つの軸でつなぐ旗印です。

困難を乗り越える経営者の思考

もちろん、苦しいことも多々ありました。
85人を抱える経営は、毎月の支払い一つとっても相当なプレッシャーです。

「どうしたらいいんだろう、と思うことはある。でも俺しかいないと思っているから」と川上様は静かに、しかし確信をもって語ります。

課題を前にした時の姿勢は、
「大きく見ると大変だが、一つひとつ細分化して着実にやっていけば、解決できない問題は基本的にない」というもの。

「今ちょうどダイエット中で、1月10日から始めて12キロ落ちたんですよ。
やることは食事・運動・睡眠だけ。経営も同じで、適切にやっていけばそんなに大きくはずれない。」

そのユーモアと自信を交えた言葉にふっと和みました。

子供に「入りたい」と思われる会社に——将来への眼差し

川上様が大切にしているのは、仕事と人生のバランスです。
「仕事をするために生まれてきたわけじゃない。幸せになるために仕事をしているんだ」と明言します。

ハードワークの末に家族を失ってしまうような生き方は、ビジネスマンとしては成功しても人生の成功とは言えない——その信念を、スタッフにも常々伝えているといいます。

川上様の一番の夢は、
「自分の子供や社員の子供が、この会社に入りたいと思えるような会社にすること。」

2歳のお子さんが社会に出るまでに、その時には誰かに継いでもらえる会社になっていたい——と遠い先を具体的に語っていただきました。

そして昨年は海外旅行に数回。
選択肢がある人生の豊かさを、ご自身が体現されています。

「行けるけど行かなくてもいい、という選択ができること。
それが人生の幅を広げることだと思っています。」

これから起業する人へ——川上流・唯一の条件

インタビューの最後、これから起業を考える人へのメッセージを聞きました。
川上様の答えは、明快でした。

「起業は10年で94%の会社がなくなると言われている。
正直、ちょっとイカレている人しかしない選択ですよ(笑)。

では生き残る人は何が違うか。
営業ができる人です。

顧客を獲得できる人です。

サラリーマン時代に社内でトップセールスと言われていない人が独立するのは、幼稚園児が小学3年生のクラスに入るようなもの。
今の仕事を全力でやって、圧倒的な結果を出してから、起業を考えてほしい」

すでに起業した人には別のアドバイスも。

「1年後、3年後、5年後にどうなりたいか、具体的にする。
そのためにはどんな時間とお金が必要かを明確にして、月単位に落とし込む。それだけです。」

川上様自身、創業当初の3年間は目標もなくがむしゃらに働いていたと言います。
入院をきっかけに「自分は世の中にあまり役に立っていない」という気づきを得て、そこから年率目標を設定し、毎月達成・未達を一人で追いかけてきた。
その積み重ねが今の姿です。

インプレスへのメッセージ——「普通のはんこ屋にはできないことを」

インタビューの締めくくり、川上様はインプレス福岡にこんな言葉を贈ってくださいました。

「インプレスさんには、今回のような印鑑というご縁で繋がっているお客様がたくさんいる。
その中には様々な業界で頑張っている方がいるはず。

そういう方々にセミナーをしてもらったり、互いに学び合えるコミュニティをつくれたりしたら、一つの大きな価値が生まれると思う。
普通のはんこ屋さんにはできないことだからこそ、インプレスさんにやってほしい」

MBAも取得し、起業カフェを通じて起業家支援を続けてきた私にとって、川上様のこの言葉はまさに背中を押してくれる一言でした。

「はんこ屋の本当の仕事」は、起業家が幸せになるまでを一緒に歩むこと——その信念を、改めて確かめた時間でもありました。

はんこ屋おやじより

川上様のお話は、具体性と温かみに満ちていました。
障がいのある方と住まいの職人をつなぐ事業、子供たちが誇れる会社を目指すビジョン、そして「ありがとうを集める」という理念——それらが一本の線でつながって見えるインタビューでした。

Facebookでいつも楽しそうな投稿を見ていましたが、その笑顔の奥にある覚悟と地に足のついた経営哲学を改めて知ることができた時間でした。

川上様、ありがとうございました。

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