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Googleマップで見つけました ── 30歳、会社員最後の夏に注文に来られた行政書士の職印

こんにちは。インプレス福岡株式会社、代表の石松道右(いしまつ・みちすけ)です。
8月6日の木曜日、午後1時半前。まだ外は真夏の光で、赤坂の路面が白く見えるような時間帯でした。
ご予約はいただいておりました。ドアが開いて、日に焼けた若い方が入ってこられました。
「電話したものです。行政書士の職印をお願いします」
「行政書士として独立します。」
18ミリ角の角印。
行政書士の先生方がお使いになる、あの四角い職印です。
「今はまだ会社員ですが、9月いっぱいで退職して独立しようと思っています。」
お聞きすれば、ちょうど30歳になられたばかりだそうです。
うちをどうやって見つけられたんですか、ご紹介ですか、と伺うと、
「いえ、Googleマップで単純にお調べして」
正直に申しますと、最近はこのパターンがいちばん多いのです。
ホームページよりもGoogleマップ。
ありがたいような、少し複雑なような。
そんな話をしましたら、吉良さんがこうおっしゃいました。
「でも、Googleさんがなかったらこうして出会うこともなかったので、個人的には良かったなと思ってます」
そう言われると、返す言葉がありません。まったくその通りです。
電柱の申請から、相続と建築の許認可へ
これまでのお仕事を伺いました。
九州電力グループの協力会社に7年ほど。
契約書の作成や、各種の申請業務をずっと担当されてきたそうです。
「勝手に電柱とかを使うわけにはいかないので、その申請であったり。あとは建築関連で言うと、解体業者さんの建設業登録であったり、逆に建てる方の許認可であったり」
なるほど、と思いました。これから始められる仕事は、まったくの未経験からの挑戦ではないのです。
7年間、毎日のように書類と向き合ってこられた。
その延長線上に、独立という選択がある。
これからのメインは、遺産相続と、建築の許認可。
相続については、こうおっしゃっていました。
「揉め事になってしまうと、どうしても司法書士さんや弁護士さんにお任せすることになるんですが。身内で『この人はこれだけ』と決まっている方であれば、我々で書類を作ることができるので」
ご自身の職域を、きちんと線引きして話される。
知り合いの方から相続の相談を受けることが多かったことが、独立の後押しになったそうです。
事務所は、自宅ではなく借りる
独立される方の多くが、最初は自宅を事務所にされます。家賃がかかりませんから、当然の判断です。
Kさんは、そうされませんでした。
「事務所は別で借ります。法務局の近くで、マンションの一室みたいなものですが……もしお客様が来られても不便がないように、そこそこいいところにはしてます」
家賃も結構するでしょう、と申し上げたら、「はい。でも貯金があるので、ある程度は」と。
準備をしてこられた方の言葉だと思いました。
9月に事務所を構え、9月末で退職、本格的なスタートは10月から。
段取りがきれいに組まれています。
法人化についても伺いました。
「一旦は個人でやらせていただいて、軌道に乗ったら──4、5年後の話かと思うんですけど──事務員さんを雇うことも考えると、株式会社も」
うちも最初は個人に毛の生えたようなものでしたが、社会保険のことを考えて早めに法人にしました。
そんな話を、しばらく。
黒水牛、18ミリ角
素材は、その場でご相談しながら決めました。
本柘植か黒水牛か。現物をお出しして、手に取っていただいて。
「木のやつで大丈夫です」と一度おっしゃったのですが、並べて見比べていただくと、やはり黒水牛に。
18ミリ角は、専用のケースが限られます。
合うものをいくつかお出しして、こちらに決まりました。
印面は「行政書士 ○○○○○之印」。
中央に大きくお名前を入れる変わった組み方もご提案しましたが、ここは一般的な形で。
士業の先生の職印は、奇をてらわないほうがいい。Kさんも同じお考えでした。
書類に押される印です。読みやすさと、格。
この2つがすべてです。

8月19日、ワンビルで
雑談の途中で、福岡の士業の世界の話になりました。
同業で長くご活躍されているご夫妻の話題が出て、それがまた、吉良さんとも縁のある方で。
福岡は狭い、というより、知り合いの知り合いで、たいてい行き当たる。
「集客は重点的にやっていこうと思っています。既存のお客様もいらっしゃるんですけど、それだけじゃダメなので」
それでしたら、と、経営者道場という会をご案内しました。
2か月に1回、経営者が集まる会です。
ちょうどその日、8月19日の回の連絡がLINEに届いていたところでした。
案内を送りましょうか、と申し上げたら、
「いいんですか。ぜひ」 そして、「必ず行きます」と。
その場でLINEを交換して、コンテンツをお送りしました。
若い方も来られる会です。いちばん若い参加者は23歳の九大生で、AIで起業して、もう会社を経営しています。
そんな話をしましたら、目を丸くされていました。
お渡しは、お盆明けに
「いつぐらいまでに仕上がればいいですか」
「9月の頭に開業しようと思ってるんですけど、全然それより後でも大丈夫です。むしろ退職のこともあるので、すぐには業務に取り掛からないと思いますので」
お盆の休みを挟みますので、お渡しはお盆明けになりそうです、とお伝えしました。
できあがりましたらLINEでご連絡します、と。
あとがき

およそ30分の来店でした。
そのうち、印鑑の話をしていたのは、正味10分あるかどうかだと思います。
あとはずっと、これから始まる仕事の話をしていました。
独立というのは、書類を揃えて、事務所を借りて、印鑑を作れば完成するものではありません。
そこから、人に知ってもらうという長い仕事が始まります。
Kさんはそれを、独立の1か月以上前から、もうご自分で分かっておられた。
9月、法務局の近くに「きらり行政書士法務事務所」が開きます。
その事務所で最初に押される角印を、うちで作らせていただきました。
7年分の書類仕事の続きが、今度はご自身の名前で始まる。その最初の1本です。
朱肉の色が乗った、まっさらな印影を思い浮かべています。
Kさん、おめでとうございます。そして、ありがとうございました。

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