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【納品紹介/個人印】相続という重さを、印鑑に刻む日

こんにちは。インプレス福岡株式会社、代表の石松道右(いしまつ・みちすけ)です。
4月最後の日、昼過ぎのことでした。
「予約とかしなくてよかったですかね」
そう言いながら扉を開けてくださった女性。天神のお勤め先から歩いてきたとのことで、どこか急いでいる様子の中に、でも静かな緊張感がありました。
「ちゃんとした実印を、作ってもらいたくて」
「去年の7月に、夫が亡くなりまして」
穏やかに、でも確かな重みを持ってその言葉は語られました。
50代半ばで突然の旅立ち。子どもがなく、相続の手続きが今も続いているとのこと。
弁護士に依頼し、書類を少しずつ整えている。
その中で、今の印鑑では不安になってきた。
「去年、急だったので、ありあわせの認印で実印登録していたんです。
でも、ちゃんとした印鑑を作って、登録し直した方がいいのかなと思って」
ご自宅の相続、銀行への委任状、弁護士事務所への書類返送。
ゴールデンウィーク前に間に合わせなければならない書類がある。
Yahoo!で「すぐ作成できる印鑑屋」を検索して、職場の天神から遠くない赤坂のインプレスを見つけてくださいました。
相続という局面が、印鑑に「本物」を求めさせる

相続の場面では、印鑑は単なる「押すための道具」ではありません。
不動産の名義変更、銀行口座の凍結解除、遺産分割協議書への捺印──
人生の中でもっとも重い書類に、何度も押すことになります。
その一押し一押しに法的な効力と当人の意思が宿る。
だからこそ、「ちゃんとした印鑑」を求める気持ちは、まったく自然な感覚だと思います。
急いで作った認印で実印登録をしていた、という話を聞きながら、私はそっと思いました。
人は人生の節目が来るまで、印鑑の重さに気づかないことが多い。
でも、いざその局面に立つと、「これじゃない」という感覚が生まれる。
それは直感ではなく、本質を掴んでいる感覚だと。
彫刻文字は「下の名前だけ」で。理由は、これからの人生のために
印材と書体の説明をしながら、もう一つ大切な話になりました。
彫刻文字はフルネームにするか、下の名前だけにするか、という問いです。
「ネットでも色々調べたんですが、どっちがいいのかな、って」
一般的に、女性の実印は下の名前だけで作られる方が約7割です。
理由はシンプルで、苗字は結婚や離婚で変わることがありますが、名前は一生変わらないからです。
今回のお客様は、相続の手続きの中で、姓をこれからどうするか、まだ揺れているとのことでした。
今の姓のままでいるかもしれない。
旧姓に戻すかもしれない。あるいは──と、先のことはまだわからないとおっしゃった。
「今は全然考えられないけど、10年後とか、何があるかわかりませんし」
その言葉に、ためらいも、これからの希望も、ちゃんと感じました。
「だったら、下の名前だけで作りましょう。
どんな姓になっても、どんな状況になっても、ずっと使えます」
白オランダ水牛・13.5ミリ・印相体──それぞれに理由がある
最終的に選ばれたのは、白オランダ水牛の13.5ミリ、書体は印相体です。
白オランダ水牛は、天然の牛角から生まれる印材で、淡いアイボリーのいかにも女性が好まれるオシャレなスタイル。天然物で二つとして同じ模様がない。
女性の実印として長年人気が高く、上品さと堅牢さを兼ね備えた一材です。
13.5ミリは、女性の実印としてもっともバランスが良いサイズ。
印相体は、偽造されにくい複雑な書体でありながら、やわらかな曲線を持つ。
「男性的すぎず、でも力強さもほしい」という方に選ばれることが多い書体です。
彫刻する文字は、下の名前のみ。横に二文字、バランスよく配置します。
印鑑は、これからのあなた自身を守るもの
「明日、受け取ってその足で区役所に登録し直しに行きたいのですが、大丈夫でしょうか!」
もちろんです。翌日のお昼過ぎに受け取りにいらっしゃり、そのまま博多区役所へ向かい、印鑑登録を切り替えるご予定とのことでした。
相続の書類を弁護士事務所に返送するのは、ゴールデンウィーク終盤の6日ごろ。
その前に、自分のすべての書類に捺印して整えておきたい。そういう意思がありありと伝わってきました。
これから何年も、何かある度に押し続ける印鑑。
人生の次の章を刻み始めるための最初の一本。
どうかその重みに相応しく、長くお役に立ちますように。
インプレスに来てくださって、ありがとうございました。
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